民法の法定地上権は行政書士試験で頻出ですが、苦手意識のある人が多いと思います。
そこで、法定地上権について世界一分かりやすい図解化を行いながら解説し、行政書士試験合格のために必須暗記事項をまとめました。
是非、ご参考にしてください!!
参考図書・サイト
- 伊藤塾:合格カード
- LEC東京リーガルマインド:合格基本書
- ゆーき大学:神ノート(民法)
- TAC:みんなが欲しかった! 行政書士の判例集 2022年度
- 合格道場
- e-Gov民法
- 判例の図表:管理人の自作
法定地上権とは?
そもそも「法定地上権」とは何かについて解説したいと思います。
一言で言えば、
法律が定めた地上権
です!
法律?地上権??となると思いますので,法律と地上権について確認しましょう☆
ということなので、法定地上権は次のように言えます!
民法388条が定めた,
他人の土地において建物を所有するため,
その土地を使用する権利
少し理解が進んだかもしれませんが,イメージがいまいち湧かないと思います.というわけで典型例を図解してみましょう.
法定地上権が成立する具体例
法定くんは、建物と土地を購入し所有していました。
購入の際、ローンを組んで地上銀行からお金を借り、地上銀行に土地に対して抵当権を設定しました。
ところが、新型コロナウイルスによる不景気で法定くんは仕事を失ってしまい、ローンを返済することができなくなってしまいました…。
地上銀行は抵当権を行使し、法定くんが所有していた土地は、地上銀行の所有になってしまいました。
地上銀行:「土地は地上銀行のモノだ!法定くん、出ていけ!」
法定くん:「うるさい!法定地上権があるから出ていかないぞ!」
この【法定くんが「土地を使用すること」を主張することができる権利】、それが法定地上権です!
どうでしょうか? 法定地上権についてだいぶ理解が進んだと思います。
それでは、次に法定地上権に関して行政書士試験に必須の暗記事項を確認していきましょう!
法定地上権の要件
法定地上権について、行政書士試験で最も重要な論点は「要件」です。
「要件」は「条文」に記載されているため、最初に「条文」を確認しましょう!
法定地上権の条文:民法 第388条
民法 388条(法定地上権)
土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。
「要件」をカラーリングしました。
法定地上権の要件
条文を確認しながら、法定地上権の「要件」を確認していきましょう☆
- 抵当権設定当時に建物が存在すること
- 土地及び建物の所有者が同一であること
- 土地または建物の一方または両方に対して抵当権が設定されること
- 抵当権の実行によって建物と土地の所有者が異なること
行政書士試験ではこれらの「要件」が必須の暗記事項になるので、絶対に暗記してください。
判例
最後に行政書士試験で暗記が必要な判例について確認していきましょう!
要件をあてはめれば簡単に判断できる判例
土地に抵当権を設定した当時、土地上に建物が存在しない場合 (最判昭36.2.10)
結論:法定地上権は成立しない
理由
要件1を確認しましょう!抵当権設定当時に建物が存在しないので、法定地上権は成立しません。
1番抵当権設定時土地と建物の所有者が異なっていた場合 (最判平2.1.22)
結論:法定地上権は成立しない
理由
要件2を確認しましょう!抵当権設定当時に土地及び建物の所有者が同一でないため、法定地上権は成立しません。
単純に要件をあてはめるだけでは判断できない複雑な判例
再築の判例
土地にのみ抵当権が設定され、建物が再築された場合 (大判昭10.8.10)
結論:法定地上権が成立する
理由・覚え方
土地に抵当権を設定した当時、土地の上に建物があるため、土地の抵当権設定を受けた抵当権者が建物について法定地上権が成立することを認容(前提として)しているからです。
土地と建物に共同抵当権が設定され、建物を取壊して再築した場合 (最判平9.2.14)
結論:法定地上権は成立しない
理由・覚え方
例外的な判例のため、難解です。
とりあえず「土地と建物の共同抵当権の場合、法定地上権は成立しない」と覚えてしまいましょう!
- 法定地上権が成立しない理由
共同抵当権者の担保範囲が【土地と建物全体】➡ 建物取壊し後【土地の価値】➡建物再筑後【法定地上権付きの建物+土地】となった場合、再築によって抵当権者の利益が害されるからです。
以下、念のため判決文の内容を引用します:
土地及び地上建物に共同抵当権が設定された場合、抵当権者は土地及び建物全体の担保価値を把握しているから、抵当権の設定された建物が存続する限りは当該建物 のために法定地上権が成立することを許容するが、建物が取り壊されたとき(②)は土地について法定地上権の制約のない更地としての担保価値を把握しようとするのが、 抵当権設定当事者の合理的意思であり、抵当権が設定されない新建物のために法定地上権の成立を認めるとすれば、抵当権者は、当初は土地全体の価値を把握していたのに、その担保価値が法定地上権の価額相当の価値だけ減少した土地の価値に限定されることになって、不測の損害を被る結果になり、抵当権設定当事者の合理的な意思に反するからである。
共有の判例
以下のように覚えれば大丈夫です!!
- 建物が共有の場合、法定地上権が成立する
- 土地が共有の場合、法定地上権は成立しない。
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