民法の勉強法

02_科目別
行政書士試験で対応が難しい科目ベスト3

1位:民法

2位:一般知識

3位:会社法

実際に受験してみて、自分は以上のように思いました。

なぜ民法の勉強は難しいのか?

『民法』は私人間の権利義務を規律する『私法』のため、
行政書士試験で勉強する他の法律(行政法や会社法)に比べてイメージしやく、とっつきやすいと思います。

例えば、、

民法 473条:
債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは、その債権は、消滅する。

民法を勉強したことが無い人でも、民法473条を読んだらどんなことかイメージも理解もできますよね。
“お金を借りている人がお金を返したら、お金を貸した人はそれ以上弁済を求めることができない”とイメージできると思います。

では、なぜ『民法の勉強』は難しいのでしょうか

膨大な条文数がある!

民法、1050条もあるんですよね…1〜1000まで単純に数を数えても結構な時間がかかると思いますが、約1000条の条文を素読するだけでも大変です。
ただ、38〜84条は削除されていたり、勉強する必要の無い条文もあります。基本的にはケータイ行政書士六法に記載されている条文だけ勉強すれば十分です!

条文に例外規定が多い

具体例を見てみましょう

民法 第103条 
代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。

赤字で示したところがいわゆる”但し書き”の例外規定です。民法は例外規定が多く、なおかつ例外規定が試験で問われるため、原則だけでなく、例外も覚える必要があります。

難解な判例も学習しなければならない

本試験では条文知識だけでなく、判例内容も問われます。そして結構難しいことが問われるんですよね…。

行政書士試験、平成23年問30
法定地上権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. Aは、自己所有の土地(更地)に抵当権を設定した後に、その土地上に建物を建築したが、抵当権の被担保債権について弁済をすることができなかった。この場合において、抵当権者が抵当権を実行して土地を競売すると、この建物のために法定地上権は成立せず建物は収去されなければならなくなることから、抵当権者は、土地とその上の建物を一括して競売しなければならない。
  2. AがBから土地を借りてその土地上に建物を所有している場合において、Bは、その土地上に甲抵当権を設定したが、Aから建物を取得した後に、さらにその土地に乙抵当権を設定した。その後、Bは、甲抵当権の被担保債権について弁済したので甲抵当権は消滅したが、乙抵当権の被担保債権については弁済できなかったので、乙抵当権が実行され、その土地は買受人Cが取得した。この場合、この建物のために法定地上権は成立しない。
  3. AがBから土地を借りてその土地上に建物を所有している場合において、Aは、その建物上に甲抵当権を設定したが、Bから土地を取得した後に、さらにその建物に乙抵当権を設定した。その後、Aは、甲抵当権の被担保債権について弁済できなかったので、甲抵当権が実行され、その建物は買受人Cが取得した。この場合、この建物のために法定地上権は成立しない。
  4. Aが自己所有の土地と建物に共同抵当権を設定した後、建物が滅失したため、新たに建物を再築した場合において、Aが抵当権の被担保債権について弁済することができなかったので、土地についての抵当権が実行され、その土地は買受人Bが取得した。この場合、再築の時点での土地の抵当権が再築建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたなどの特段の事由のない限り、再築建物のために法定地上権は成立しない。
  5. AとBが建物を共同で所有し、Aがその建物の敷地を単独で所有している場合において、Aがその土地上に抵当権を設定したが、抵当権の被担保債権について弁済できなかったので、その抵当権が実行され、その土地は買受人Cが取得した。この場合、この建物のために法定地上権は成立しない。

この問題、行政書士試験・民法の中でも難易度が高いため、解けなくても大丈夫ですが(いわゆる合否に関係しないC問題)、こんな感じの判例問題が出題されることは最初から覚悟しておきましょう。
宅建資格を持っている自分は”法定地上権”に関して自信があったのですが、この問題を見て行政書士試験やばいって思いました。

記述式も対策しなければならない

ここまでで民法の勉強法が大変なことを分かって頂いたと思います。

追い討ちを掛けてしまいますが、民法には記述式があります。

しかも配点が40点!!

今年の民法の記述式の問46を見てみましょう!

令和3年問46

Aが所有する甲家屋につき、Bが賃借人として居住していたところ、甲家屋の2階部分の外壁が突然崩落して、付近を通行していたCが負傷した。甲家屋の外壁の設置または管理に瑕疵があった場合、民法の規定に照らし、誰がCに対して損害賠償責任を負うことにあるか。必要に応じて場合分けをしながら、40字程度で記述しなさい。

この問題を解くためには、民法717条を覚えておく必要がありました。

(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
第717条 
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
 前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。

民法の勉強法とは?

以上を踏まえて民法の勉強法について考察します。

ちなみに、自分はR3行政書士試験の約10日前に民法の勉強法が分かった!と思いました(笑)

このツイートの通り、

  • 条文をできるだけ正確に覚える
  • 判例もちゃんと覚える

が、民法の勉強法です!近い道はありません。これに尽きます。

勉強の進め方

いきなり条文と判例を正確に覚えるのは無理です!

この記事でも紹介しましたが、インプットとアウトプットを交互に勉強すると学習効率が上がります。

しばらくは問題演習⇄条文・判例確認を行いましょう!

問題演習を通じて、どんな論点が問われるのか認識してください!
そして、問題演習しならがら条文・判例に少しずつ慣れてください!

試験の直前期は、条文と判例をガチ暗記してください!!!

こんなイメージで勉強を進めて行きましょう。
白紙のキャンパスに下書きをして、少しずつ色をつけて、最後に民法という絵を完成させるイメージです。

民法、お勧めの問題集

いわゆる『スー過去』をお勧めします。

わざわざ他資格(公務員試験)の問題集を使わなければならないのか、と思うと思います。
自分も同じように思っていましたが、理由は、以下の通りです。

  • 2020年に民法大改正が施行されたこと
  • 行政書士試験は民法が9題しか出題されないため(記述式以外)、過去問が少ない

つまり、民法大改正後の過去問が少ないので、他資格の試験問題で補う必要があるということです!

スー過去:

公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6 民法1一総則・物権・担保物権
公務員試験 新スーパー過去問ゼミ6 民法2一債権総論・各論・家族法

アマゾンリンク先:民法1民法2

まとめ

試験直前までには、

  • 条文をできるだけ正確に覚える
  • 判例もちゃんと覚える

必要があるのですが、

その準備のために、

  • 問題演習(スー過去と行政書士試験の過去問)
  • 問題で出てきた条文・判例の確認

を進めてください。

民法の勉強ははっきり言って大変です!

でも大丈夫!自分は民法の勉強法を試験10日前に分かりましたが、
このブログを読んでいただいた皆さんは、”今”分かって頂いたと思いますので、
効率的に勉強を進めて行ってください!

いっくん@issay_univ

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